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編集後記
Y. K.
pp.660
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205209
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今年度から「精神医学」の編集委員を担当させていただくことになり,初めて本誌を手にした研修医の頃に思いを馳せつつ一編一編に向き合っております。
さて,本号は,まさに「まっすぐ・こころに届く」巻頭言から始まり,精神医療における早期介入の特集に続いています。早期介入というと,近年では早期精神病への介入がまず思い浮かびますが,今回の特集では,トラウマ例や発達障害の併存症まで含めて多様な疾患を取り上げています。代表的とも言えるARMS(at-risk mental state)については,統合失調症の前駆期と相同ではなくて精神病以外の精神障害のリスクや機能障害のリスクを持っていることを前提として早期介入を検討するように勧めています。同じ早期介入と言っても,うつ病や不安症のようにより幅の広い疾患であると,どこまで早期発見をして早期介入をしたらよいのか,どのような早期介入が有用かの判断は難しいとあらためて感じました。そういう観点から疾患の異質性がより浮き上がってくるとも言えましょう。学校メンタルヘルスや,産業メンタルヘルスの活動としてこころの健康の増進を図ることまで連続するような心理教育も重要であり,そうすると医療以外の分野との連携もますます必要だろうとも感じられ,いろいろと示唆に富む特集であると思います。
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