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編集後記
Y. K.
pp.494
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205823
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読者の皆様のお手元に本号が届く折には,多くの地域ですでに桜が花開いて新年度を飾っていることと思います。年度の初めにあたって,精神医学が長らく追求し続けている統合失調症の治療ゴールを特集に取り上げるのはふさわしいと言えるかもしれません。
特集は,異なる視点,立場から書かれた10編によって構成されていますが,それらのほとんどで,リカバリーやshared decision makingが共通の基盤となっています。冒頭では薬物療法の視点から,これらをキーワードとして取り上げるとともに,臨床的なリカバリーとパーソナルリカバリーについても論じています。すべての精神科医にとって身近である薬物療法を通して特集への導入の役割を果たしているとも言えます。薬物療法に続いて,治療者・支援者側のさまざまな視点から検討が加えられた後に,当事者・家族が望む治療ゴールに関する意見が述べられているのは特筆すべきと思います。当事者・家族の視点から,また,当事者が自身の物語を紡ぐのに寄り添うという自助と自治支援の観点からの意見には重みを感じます。特集の最後となるゲノム医療の視点からの論考でも,最新の知見を活用するにあたってshared decision makingが重要であることが述べられています。
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