Japanese
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特集 双極Ⅱ型をめぐる諸問題
双極Ⅱ型障害と発達障害の併存
Comorbidity of BipolarⅡ Disorders and Neurodevelopmental Disorders
岡田 俊
1
Takashi Okada
1
1名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科
1Department of Child and Adolescent Psychiatry, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
キーワード:
Bipolar disorders
,
Autism spectrum disorders
,
Attention-deficit/hyperactivity disorders
,
Comorbidity
Keyword:
Bipolar disorders
,
Autism spectrum disorders
,
Attention-deficit/hyperactivity disorders
,
Comorbidity
pp.735-739
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205633
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はじめに
発達障害(神経発達症群)は,発達期に出現,すなわち,発達早期,多くは学童期以前に出現し,通常の発達と異なることで特徴付けられ,そのために日常生活上の困難を来す状態を言い,知的能力障害,コミュニケーション症,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorders:ASD),注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorders:ADHD),特異的言語症,チック症を含む運動症などが含まれる。発達障害のなかで有病率が高く,臨床的関与の対象となりやすいのはASDとADHDであるが,両者は併存しやすいだけでなく,抑うつ障害や双極性障害,不安症などとも合併しやすい点でも共通している。また,ASDにおける易刺激性,ADHDにおける反抗挑発症や素行症などの外在化障害の理解には,気分障害の併存という視点を欠かすことはできない。また,severe mood dysregulation(SMD)あるいは重篤気分調節症(disruptive mood dysregulation disorder:DMDD)と診断される気分障害の一群は,近年,発達障害との関連において,その理解の枠組みが与えられつつある。双極Ⅱ型障害に限定したエビデンスは不十分であるが,気分障害と発達障害の関連をめぐる臨床問題は,このような抑うつ症状を主とする気分変動に帰着し,その意味では,最も本質的な問題と考えてよかろう。本稿では,ASDとADHDに限定し,気分障害との併存をめぐるトピックについて,双方の視点から検討を加えることとしたい。
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