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私のカルテから
躁うつ病の口腔内セネストパティーと生気悲哀の関係について
On Relationship Between Oral Cenestopathy and Vital Sadness in Manic-depressive Psychosis
田中 恒孝
1
,
宮坂 雄平
1
,
宮坂 義男
1
Tsunetaka Tanaka
1
,
Yuhei Miyasaka
1
,
Yoshio Miyasaka
1
1松南病院精神科
1Department of Psychiatry, Shonan Hospital, Matsumoto, Japan
pp.209-211
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205546
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はじめに
Schneider K6)は循環病性うつ病(内因性うつ病と躁うつ病性うつ病)の主要な感情障害は生気悲哀であるといい,それは表現困難な身体感覚・身体感情・自律神経症状の組み合わされた不快な体験である9)。筆者らは循環病性うつ病に顕著な口腔内セネストパティー(以下,口腔内体感症と略す)様症状を示し,うつ病相の改善につれ消退した1症例を経験した。うつ病に伴う口腔内体感症の症例報告は決して少なくない4,5,11)が,うつ病の身体感情障害である生気悲哀との関係を詳しく論じたものはない。本症例の苦痛で奇異な精神・身体的体験はうつ病相と関係して発現し,その改善につれ消失した。それゆえ,循環病性うつ病者の示す口腔内体感症には,口腔に限局した生気悲哀が含まれている可能性があると考えた。
本症例報告にあたり患者の了解を得ており,利益相反はない。
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