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特集 Research Domain Criteria(RDoC)プロジェクトの目指す新たな精神医学診断・評価システム
脳MRI画像を用いた精神医学診断・評価システムの構築
Reconstruction of the Psychiatric Diagnosis and Evaluation Using Brain MRI Images
岡田 直大
1
Naohiro Okada
1
1東京大学医学部附属病院精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, The University of Tokyo Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
MRI
,
Biomarker
,
Psychiatric disorder
,
Diagnosis
,
Assessment
Keyword:
MRI
,
Biomarker
,
Psychiatric disorder
,
Diagnosis
,
Assessment
pp.63-68
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205524
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はじめに
脳のmagnetic resonance imaging;磁気共鳴画像法(MRI)画像は,主に神経内科および脳神経外科領域において,脳腫瘍,脳梗塞,脳出血,脳変性疾患などを対象として,病気の診断,病状の評価,治療効果の判定などを目的として,臨床現場で用いられてきた。一方,精神疾患に対しては,一部の例外(認知症,器質性精神障害など)を除いて,いまだに臨床応用されていない。最も深刻な精神疾患の一つである統合失調症でさえも,歴史的には,脳病理学的に有意な所見が見出されたことがほとんどなく,一般に精神疾患は,生物学的には健常者との差異を見出しにくいという特徴がある。脳のMRI画像においても同様に,健常者と精神疾患患者の所見の差異はわずかであり,個々の被験者に対してその所見のみから診断を下すことは困難である。MRI画像技術の進歩や,脳MRIを用いた精神疾患の病態解明研究の進展に伴い,脳のMRI画像を用いた精神疾患の診断が可能になる日は確実に近づきつつあるが,いまだ実現には至っていない。
本稿では,MRI画像技術,および精神科領域におけるMRI画像研究の知見を紹介し,その進展状況をまとめる。また,臨床応用を検討する上で,現時点で障壁となっている問題点を取り上げ,さらには将来の展望について述べる。
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