特集 精神医学と睡眠学の接点
特集にあたって
清水 徹男
1
Tetsuo SHIMIZU
1
1秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座
1Department of Neuropsychiatry,Akita University Graduate School of Medicine,Akita,Japan
pp.509
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205397
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近年,睡眠・覚醒およびそのリズムと,精神機能および精神障害との間にある密接な関係について,急速にその理解が深まりつつある。この特集は,精神科医にとって特に興味深いトピックについてわが国の第一人者による解説を集めたものである。
1998年に本邦の研究者により覚醒を司る神経ペプチドorexin(hypocretin)が発見され,さらに,その欠乏がナルコレプシーの原因となることが明らかにされた。さらに,orexinを産生するのは視床下部外則にあるわずか2〜4万個の神経細胞に過ぎないが,その投射は睡眠・覚醒にかかわる神経諸核に加えて,視床下部,情動回路,脳内報酬系など,精神機能にかかわる戦略的に重要な多くの部位に及んでいる。すなわち,orexin系は睡眠・覚醒とさまざまな精神機能の間の密接な関連を下支えする重要な役割を担っていることが示唆される。
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