Japanese
English
短報
慢性精神分裂病の患者2症例に併発した恐慌発作に対する塩酸トラゾドンの効果
Good Therapeutic Effects of Trazodone on Panic Attacks in Two Patients with Chronic Schizophrenia
善本 正樹
1
,
樋口 久
1
,
穂積 慧
2
,
清水 徹男
1
,
菱川 泰夫
1
Masaki YOSHIMOTO
1
,
Hisashi HIGUCHI
1
,
Satoshi HOZUMI
2
,
Tetsuo SHIMIZU
1
,
Yasuo HISHIKAWA
1
1秋田大学医学部精神科学教室
2協和病院
1Department of Neuropsychiatry, Akita University School of Medicine
2Kyowa Hospital
キーワード:
Trazodone
,
Schizophrenia
,
Panic attack
Keyword:
Trazodone
,
Schizophrenia
,
Panic attack
pp.1105-1108
発行日 1995年10月15日
Published Date 1995/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903972
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長期間にわたって抗精神病薬を服用している精神分裂病の患者において,恐慌発作が高頻度に認められるとの報告がある1)。しかし,精神分裂病の患者にみられる恐慌発作に対しては,恐慌性障害(DSM-Ⅲ-R)の患者と同様に,alprazolamやimipramineが有効だとする報告4,9)や,抗精神病薬の減量によって恐慌発作が軽減したとする報告1)などがあり,その治療方法は十分に確立されているとは言い難い。
今回,我々は,DSM-Ⅲ-Rで恐慌性障害の診断基準を満たす特徴を備えた恐慌発作と強い抑うつ気分を呈した慢性精神分裂病の患者2症例に対して,塩酸トラゾドンを投与したところ,恐慌発作と抑うつ気分に対して著明な改善がみられ,その後も,安定した経過をたどったという経験をした。また,この臨床知見をもとに,精神分裂病の患者にしばしば合併する恐慌発作の発症機序や薬物治療について若干の考察を加えた。
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