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I.緒 言
ヒトや高等動物は,その一生涯のあいだは,覚醒と睡眠のいずれかの状態にある。覚醒の発現には中脳網様体が重要な役割を果たしていることが明らかにされている。その中脳網様体の活動低下が睡眠を発現させることになるのか,中脳網様体以外の神経機構の活動によって睡眠が発現するのかという疑問は,過去の約50年間における脳生理学の重要な研究課題の一つであった。過去の約20年間における主として動物実験の成績に基づいて,脳幹部には睡眠の発現を司る重要な神経機構が存在するということが明らかにされてきた(Jouvet,197231))。しかし,ヒトの睡眠の発現を司る中枢神経機序は未だに不明である。したがって,さまざまな原因で起こるヒトの睡眠障害についての研究成績を積み上げて,その成績を動物実験から得られた知見と対照して検討していくことは,ヒトの睡眠の発現を司る神経機構を解明する一つの重要な手段である。また,睡眠障害と非常に密接な関係を持つ重要な臨床症状として,夜間せん妄があげられるが,睡眠障害と夜間せん妄との問にいかなる関係があるかという点についてもほとんど解明されていない。
Abstract
Recent experiment in animals disclosed that the neural structures in the midbrain and pontine tegmentum play important roles in inducing and maintaining sleep. Little is known, however, about the sleep of patients with destruction of these neural structures. The mechanisms of noc-turnal delirium, often observed in patients with various lesions in the brain stem, has not been well investigated either.
Polygraphic and video-recording of nocturnal sleep were performed on 11 patients with systemic degeneration probably involving the brain stem.
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