Japanese
English
研究と報告
汎発性皮膚掻痒症を合併した老年期うつ病にmirtazapineが奏効した1例
A Case of Senile Depression with Generalized Pruritus Treated by Mirtazapine
佐藤 研一
1
,
赤羽 晃寿
1
,
栃木 衛
1
,
林 直樹
1
,
池淵 恵美
1
Kenichi SATO
1
,
Akihisa AKAHANE
1
,
Mamoru TOCHIGI
1
,
Naoki HAYASHI
1
,
Emi IKEBUCHI
1
1帝京大学医学部精神神経科学講座
1Department of Psychiatry, Teikyo University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Senile depression
,
Generalized pruritus
,
Mirtazapine
,
Psychodermatology
Keyword:
Senile depression
,
Generalized pruritus
,
Mirtazapine
,
Psychodermatology
pp.259-264
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205350
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抄録
汎発性皮膚掻痒症を合併した老年期うつ病の症例を経験した。その病像の中心はうつ病およびその身体症状(痒み)による不快感から生じた焦燥であり,これらの症状に対してmirtazapineが著効を示した。一方,その治療過程において,後に治療者の焦燥に対する認識と治療薬の選択,そして精神疾患に関連する皮膚症状についての知識といった問題点が浮き彫りになり,このことが寛解までに費やした時間に影響を及ぼした可能性があると考えられた。痒みはきわめて不快な感覚であり,速やかにかつ適切に対処すべき症状である。器質的な皮膚病変を認めない皮膚掻痒症は精神皮膚科学(psychodermatology)の対象疾患であり,治療には精神医学的介入が重要であることを本症例から学んだ。
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