Japanese
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特集 ADHDをめぐる最近の動向
小児期のADHDと成人期のADHDの連続・不連続—児童精神科医から
Continuity and Non-continuity from Child ADHD to Adult ADHD
山室 和彦
1
,
飯田 順三
2
Kazuhiko YAMAMURO
1
,
Junzo IIDA
2
1奈良県立医科大学精神医学講座
2奈良県立医科大学医学部看護学科
1Department of Psychiatry, Nara Medical University School of Medicine, Kashihara, Japan
2Faculty of Nursing, Nara Medical University School of Medicine
キーワード:
Attention deficit/hyperactivity disorder
,
Neurodevelopmental disorders
,
Child
,
Adult
Keyword:
Attention deficit/hyperactivity disorder
,
Neurodevelopmental disorders
,
Child
,
Adult
pp.197-201
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205340
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はじめに
小児期から成人期にかけての脳の発達に関する古典的な研究としてピアジェやエリクソンによるものが知られている。ピアジェは感覚運動期から形式的操作期までの知能の発達段階について提唱し21),一方でエリクソンは第1段階から第8段階までの社会性の発達段階について提唱した9)。これらの研究は,たとえ注目する機能が違うとしても正常発達において脳が連続的に発達することを示唆している。では今回のテーマである注意欠如・多動症(attention deficit/hyperactivity disorder;ADHD)においては小児期から成人期にかけて連続的なのか,それとも非連続的なのだろうか。ADHDは不注意,多動性および衝動性という中核症状によって特徴付けられる発達障害である。かつてADHDは小児期にのみにみられる疾患であり,成人になるにつれ症状は軽快していくものと認識されていた。その後,ADHDと診断された小児のうち約50%が成人期まで何らかの症状が持続し17),約35%は成人期にもADHDの診断基準を満たすと報告され4),成人期においてもADHDはみられると認識されるようになった。このように,成人期でのADHDは小児期からの連続的であるとされていたが,ここ最近,成人期と小児期ADHDがすべて連続的であるのではなく,成人期になって初めてADHD症状が出現するという不連続性の可能性も議論されるようになっている。そこで,小児期ADHDと定型発達との連続性について論じた上で,小児期と成人期ADHDとの連続・不連続性について論じることとする。
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