Japanese
English
特集 認知症の人の認知機能障害,生活障害,行動・心理症状の構造
血管性認知症の認知機能障害,行動・心理障害および生活障害の構造
A Structure of Cognitive Disturbance, BPSD, and Disability of Daily Life in the Vascular Dementia
中野 倫仁
1
,
小林 清樹
2
,
岩本 倫
2
,
牧野 愛恵
2
,
河西 千秋
2
Norihito NAKANO
1
,
Seiju KOBAYASHI
2
,
Tomo IWAMOTO
2
,
Megumi MAKINO
2
,
Chiaki KAWANISHI
2
1北海道医療大学心理科学部
2札幌医科大学医学部神経精神科
1School of Psychological Science, Health Sciences of University of Hokkaido, Tobetsu, Japan
2Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Sapporo Medical University
キーワード:
Vascular dementia
,
Apathy
,
QOL
,
Nonpharmacological therapy
Keyword:
Vascular dementia
,
Apathy
,
QOL
,
Nonpharmacological therapy
pp.953-958
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205270
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はじめに
血管性認知症(vascular dementia;VaD)は,血管障害(脳血管のみならず頸動脈なども含む)に起因する認知症の総称であり,アルツハイマー型認知症(ATD)などの変性性認知症とならんで,代表的な認知症とされてきた。従来,本邦では脳卒中が多かったこともあり,VaDの発症予防と治療が認知症対策の主要なテーマであった。VaDの最大の危険因子である高血圧症の治療の進歩により,脳出血に起因するVaDは減少してきた。その後,脳梗塞に起因するVaDも減少し,VaD全体の有病率も減少することが予想された。しかしながら,最近発表されたコホート研究である久山町研究4)によれば,VaDの有病率は横ばいであることが判明し,期待を裏切る結果となった。高血圧症の寄与が減った分,糖尿病(耐糖能異常を含む)の関与が増加したことなどが考えられている4)。したがって,認知症臨床におけるVaDの重要性が低下することは当面考えにくいことになり,「認知症にやさしい地域づくりの推進」のためにVaDの特性を理解した上での対応が必要である。
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