巻頭言
新専門医制度下における精神科研修医教育—精神科医に求められる感性をどう身につけるか
鷲塚 伸介
1
1信州大学医学部精神医学教室
pp.196-197
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205125
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2017年度より専門医制度が大きく変わることは,すでに多くの方がご存じのことであろう。従来日本精神神経学会が行ってきた,研修プログラムや研修施設の評価と認定,精神科専門医の認定を,来年度から第三者機関である日本専門医機構が行うことになる。これは精神科を含む基本18診療科すべてにわたっての改革であり,現在その準備が急ピッチで進められている。新たな研修制度では,研修の中核的役割を果たす「専門研修基幹施設」とそれと関連した「専門研修連携施設」とで,「研修施設群」を作り,研修はこの「研修施設群」単位で行われる。「研修施設群」は「研修プログラム」を策定し,精神科専門医を目指す「専攻医」がその内容を見較べて,自身にとって魅力的と思えるものを選び,実際の研修を開始することになる1)。
「専門研修プログラム整備基準」2)では,専門研修の目標として,以下の5点を挙げている。すなわち,①患者や家族の苦悩を受け止める感性と共感する能力を有し,その問題点と病態を把握し,治療を含めた対策を立てることができる。②患者・家族をはじめ多くの職種の人々とのコミュニケーション能力を有し専門性を発揮し協働することができる。③根拠に基づき,適切で,説明のできる医療を行うことができる。④臨床場面における困難に対し,自主的・積極的な態度で解決にあたり,患者から学ぶという謙虚な姿勢を備えている。⑤高い倫理性を備えている。そしてこれらの実現のために修得すべき知識・技能・態度などが細かく定められているのだが,ここではその詳細は省く。
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