巻頭言
ストレスチェック制度によって職場のメンタルヘルス不調者は減少するか?—面接指導による事後措置の効果
中村 純
1,2
1産業医科大学
2北九州古賀病院
pp.496-497
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204938
- 有料閲覧
- 文献概要
労働安全衛生法(安衛法)が改正され,50人以上の従業員がいる企業では,「心理的な負荷を測定するための検査」すなわちストレスチェック制度が2015年12月から始まる。この制度は,この十数年前から職場における精神的な不調者をいかに早期発見し,治療に導くかということで考えられていたものである。1998年以降,わが国では働き盛りの自殺者が多い状況が続き,職場のメンタルヘルス不調者は減らず,休職者だけでなく,治療中の労働者の増加から企業の生産性を低下させていることも報告され,職場のメンタルヘルス対策への関心が高まった。特に過労自殺などによる労災認定件数が増加しており,企業にとっては安全配慮義務の観点からもメンタルヘルス対策は喫緊の課題である。
ところでメンタルヘルス不調という用語から受ける印象は,うつ状態や適応障害などの精神疾患を指すと思われ,発症要因としては生物学的要因よりも環境要因や心理的要因が大きな割合を占めると考えられる。現状では精神疾患に罹患した多くの人が働いており,その再発を予防することも企業には要請されている。しかし,その方法や介入についてのエビデンスはきわめて少ない。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.