Japanese
English
展望
てんかんの精神病状態
Psychosis in Epilepsy
清野 昌一
1
,
井上 有史
1,2
Masakazu Seino
1
,
Yushi Inoue
1,2
1国立療養所静岡東病院(てんかんセンター)
2京都大学医学部精神医学教室
1National Epilepsy Center, Shizuoka Higashi Hospital
2Department of Psychiatry, Kyoto University
pp.224-236
発行日 1989年3月15日
Published Date 1989/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204670
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Ⅰ.まえがき
第2次大戦後のてんかん精神病の研究の歴史はおおむね次のように辿ることができる。516例の挿間性精神病を集計して,精神運動てんかんと中心脳性てんかんについて精神症状の特徴を分析したDongier18),強制正常化の現象を見いだし,側頭葉てんかんの精神症状の類型化を試みたLandolt50)の業績が1950年代の頂点である。1960年代には,Slaterら84)が69例のてんかん精神病の分裂病様状態を詳細に分析し,これらが非特異的ながらてんかんの病的過程,特に側頭葉の病変に基づくことを指摘した。さらにFlor-Henry25)は,てんかん焦点の側方性が精神症状を決定すると報告し,機能的なてんかん過程そのものを精神病の病態と考えた。1970年代前半には,Bruens10)がさまざまな病態仮説を検証して,てんかん精神病はmultifactorialに考えるべきだと提唱した。
その後,現在までの10年余のてんかん精神病の研究がどのような展開をみたのか,その大筋を辿るのが,本稿の目的である。
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