Japanese
English
研究と報告
てんかんでの急性幻覚妄想状態の発現について—抗てんかん薬との関連
The Occurrence of Acute Paranoid-hallucinatory State in Epilepsy: in association with antiepileptic drugs
川崎 淳
1
,
扇谷 明
1
,
兼本 浩祐
1
,
河合 逸雄
1
,
井上 有史
2
Jun Kawasaki
1
,
Akira Sengoku
1
,
Kousuke Kanemoto
1
,
Itsuo Kawai
1
,
Yushi Inoue
2
1国立療養所宇多野病院関西てんかんセンター
2京都大学医学部精神科
1Kansai Regional Epilepsy Center, Utano National Hospital
2Department of Neuropsychiatry, Kyoto University School of Medicine
キーワード:
Epilepsy
,
Psychosis
,
Phenytoin
,
Zonisamide
Keyword:
Epilepsy
,
Psychosis
,
Phenytoin
,
Zonisamide
pp.595-600
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903061
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【抄録】 分類診断が可能であった成人のてんかん患者1,207例のうち,当院での治療期間中に急性の幻覚妄想状態を発現した26例を抽出し,てんかん分類,精神症状発現時の投薬内容,発作頻度,脳波所見を検討した。てんかんにおける急性幻覚妄想状態の発現率は,全症例で2.2%,側頭葉てんかんでは7.3%と側頭葉てんかんで有意に高かった。側頭葉てんかんでの精神症状発現に関わる一因子として,抗てんかん薬との関連をみたところ,phenytoin(PHT)とzonisamide(ZNS)の関わりが重視された。精神症状はPHT単剤下で4例みられ,そのうち3例は,高い血中濃度で,発作が抑制されて出現した。このことから精神症状はPHTの直接的な副作用というよりも,患者の病態に変化を与えて発現するとみられた。ZNSでは,いずれも多剤併用下で,投与後間もなくに発現する傾向がみられた。しかし多剤併用下であったので,ZNSの副作用として精神症状が出現したのか,なお結論されない。
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