Japanese
English
研究と報告
相貌認知の障害や視覚的記銘障害などを呈した右後頭葉梗塞の1臨床例
A Case of the Impairment of Facial Recognition and Visual Memory due to the Infarction of the Right Occipital Lobe Hemorrhage
鈴木 利人
1
,
大福 浩二郎
1
,
白石 博康
1
,
小泉 準三
1
,
能勢 忠男
2
Toshihito Suzuki
1
,
Kojiro Ofuku
1
,
Hiroyasu Shiraishi
1
,
Junzo Koizumi
1
,
Tadao Nose
2
1筑波大学臨床医学系,精神医学
2筑波大学臨床医学系,脳神経外科
1Department of Psychiatry, Institute of Clinical Medicine, The University of Tsukuba
2Department of Neurosurgery, Institute of Clinical Medicine, The University of Tsukuba
キーワード:
Prosopagnosia
,
Visual memory disturbance
,
Right occipital lobe
Keyword:
Prosopagnosia
,
Visual memory disturbance
,
Right occipital lobe
pp.999-1006
発行日 1988年9月15日
Published Date 1988/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204582
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抄録 症例は60歳の男性である。右後大脳動脈領域の梗塞により急性期に遷延性の意識障害を呈したが,その後神経心理学的に視覚的および視空間的記銘障害,変形視(相貌変形視を含む),未知相貌に関する識別障害などが認められた。
相貌認知の障害には,視知覚の障害と視覚刺激に関する記憶想起の障害などがあるといわれているが,本例は前者に属すると思われた。本例の特徴は,変形視に相貌変形視を認め,また非言語的視覚刺激では未知相貌の識別にのみ障害が認められたことであり,このことから右半球のみの障害でも相貌認知に関連のある障害を呈し,特にその役割は視知覚や認知の段階で重要と思われた。また熟知相貌の失認の成立には,さらに左半球の障害すなわち両側後頭葉の障害が必要ではないかと考えられた。
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