Japanese
English
短報
精神分裂病と甲状腺障害を合併した一卵性双生児例
Both Identical Twin of Schizophrenia with Thyrosis: A case report
柴田 恵理子
1
,
渡辺 雅幸
1
,
坂井田 四郎
1
,
中澤 恒幸
1
Eriko Shibata
1
,
Masayuki Watanabe
1
,
Shiro Sakaida
1
,
Tsuneyuki Nakazawa
1
1藤田学園保健衛生大学医学部精神神経科
1Department of Psychiatry, Fujita-Gakuen Health University School of Medicine
pp.333-336
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204306
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I.はじめに
我々は一卵性双生児の姉妹がともに甲状腺障害と精神分裂病症状とを呈した症例を経験した。精神症状の病因として甲状腺障害による症状精神病2,8,13)の可能性も否定できないが,精神症状の内容が幻聴,考想化声,被影響体験などの一級症状を有する分裂病症状であり,また明確な遺伝負因(父親が精神分裂病)が存在することから,姉妹の精神症状は精神分裂病によるものと診断した。姉妹の精神症状は類似点も多いが,姉は分裂病発症前にeating disorderの症状を呈したのに,妹はかかる症状を呈さないなどの相違点も存在した。本症例は一卵性双生児の姉妹が双方とも,①甲状腺機能障害と②精神分裂病とを発症したが,一方,③姉のみが精神分裂病症状に先行してeating disorderを発症した経過をたどり,以上の点で興味深い症例と考え,ここに報告する。
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