巻頭言
感情精神障害と半球間バランス
遠藤 俊吉
1
1日本医科大学精神医学教室
pp.126-127
発行日 1985年2月15日
Published Date 1985/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203891
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最近“右脳ブーム”なる言葉をしばしば見聞きする。右脳の機能と創造力とが関係づけられて巷間でもてはやされており,一般向けの啓蒙書の類が書店の店頭を賑わせ,また,週刊誌がこぞってこのテーマを取り上げていたのも記憶に新しい。
精神科医としてこのような現象は誠に興味をそそられる事柄と思われるが,これがいつ頃から何によって惹き起こされたものであるか筆者は寡聞にして知らない。しかし推定するに,Sperryらカリフォルニア学派やGeschwindらボストン学派の研究をはじめとする最近の神経心理学的研究の急速な発展により,従来“沈黙脳”あるいは“暗黒脳”と称されそのほとんどが知られていなかった右脳の機能の輪郭が,ある程度明らかになりつつあることが大きく関与しているのであろう。また,わが国では,創造の世界22巻(1976年)に掲載された湯川秀樹,園原太郎,市川亀彌,竹下敬次,品川嘉也,角田忠信の諸氏によるシンポジウムの影響や数年前に発刊された角田忠信氏の論文集“日本人の脳”が各方面に少なからず与えたインパクトなどが関係しているように思われる。
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