扉
大脳半球と人間教育における左右のバランス
植村 研一
1
1浜松医科大学脳神経外科
pp.1027-1028
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201573
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知識偏重詰込教育,試験地獄,偏差値中心主義といった批判を受けて教育改革・入試改革が進められている折,このたびの福井京大名誉教授のノーベル化学賞受賞を契機に,わが国における「創造性の教育」の立遅れが改めて新聞紙上の論議を呼んだことは周知の通りである.医学教育においては統合カリキュラムの導入などの改革が近年盛んになってきたとはいうものの,よき医師を育成するための「人間教育」をどうするかという未解決・未改革の情意領域教育の難題も抱えている.
私は1976年春,イリノイ大学医学部教育開発センターに3ヵ月間留学する機会に恵まれた.ここは1959年設立され,現在では75名の教育心理学者を抱えるマンモス教育研究所で,北米の医学教育カリキュラム,医師国家試験,専門医認定試験,医師生涯教育制度などの改革に中心的役割を演じているところで,そこで私は新しい教育技法や評価法について多くを学ぶことができた.また近年の教育工学の貢献も見のがせない.しかしこれからの教育改革を考える時,ことに発明・発見を目指す創造性の教育開発のためには教育心理学と教育工学だけでは不十分であると気づいたので,以下,私見を述べてみたい.
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