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短報
精神分裂病における半球機能および半球間連絡機能障害—立体認知課題による神経心理学的検討
Intrahemispheric and Interhemispheric Dysfunction in Schizophrenia: neuropsychological investigations by means of the stereognostic test
丹野 義彦
1,2
,
町山 幸輝
3
Yoshihiko Tanno
1,2
,
Yukiteru Machiyama
3
1群馬大学医学部行動医学研究施設行動生理学部門
2現在群馬大学医療技術短期大学部
3群馬大学医学部神経精神医学教室
1Department of Behavior and Physiology, Behavior Research Institute, University of Gunma Medical School
3Department of Neuropsychiatry, University of Gunma Medical School
pp.591-594
発行日 1985年5月15日
Published Date 1985/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203947
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I.はじめに
精神分裂病患者の示す認知障害の原因としては,従来注意障害説が重視されていたが,最近になって左大脳半球機能障害説や左右半球間連絡機能障害説が注目されている2,9)。これらの仮説は患者にみられる種々の認知障害の成因を考えるうえできわめて魅力的である。
われわれはこれまで,受動的触覚性のきめ弁別課題12)および自己受容感覚性の重量弁別課題13)を用い,患者の左手,右手の弁別成績を比較することにより左半球機能障害説を,さらに患者の左右の片手と両手の弁別成績を比較することにより半球間連絡機能障害説を検討してきたが,上述の仮説を支持する結果は得られなかった。しかし,これらの結果は,触覚および自己受容感覚に関しては,片手の情報が必ずしも完全に反対側の半球のみに入力されないためである可能性がある。したがって,これらの仮説に関して確実な結論をうるためには,一側の感覚情報がほぼ完全に対側半球のみに入力されると考えられている能動的触覚性などの課題を用いる必要がある。
これまで能動的触覚についてはGreen5)やCarr3)が立体認知課題を用いて,分裂病患者における左右半球間連絡機能障害を示唆する所見を報告している。しかしこれらの研究は成績に関する資料の記載が十分ではない。そこで今回われわれは,彼らの実験条件を含むような比較的多くの実験条件を設定し,結果の再現性および一貫性の点から上述の仮説を検討することにした。
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