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展望
芸術療法の展望—表現精神病理・パトグラフィ領域とともに—第2回
Review of Art Therapy '84
徳田 良仁
1
Yoshihito Tokuda
1
1神経研究所診療部
1Neuropsychiatric Research Institute
pp.906-914
発行日 1984年9月15日
Published Date 1984/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203815
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VI.工芸・造形・陶芸療法
このジャンルについては近年いくつかの業績がある。小さな試みから一方壮大なる試みにいたるまでその多次元・多様性は目をみはるものがある。しかし,それはあくまでも表面的な様相であって,これからその理論構築がなされ批判に耐えるものになるかが問われる時ではなかろうか。
佐藤175)は精神分裂病に罹患したこけし工人を取り上げ,その作品の変遷を報告している。発病前,発病後の20数年間の作品群を検討し,こけし自身のもつ意味は観賞者との間に社会における人間関係に近いものの存在することを認め,さらにこけしは主体的で質感・質量のあるもののために「みる」と同時に「さわる」という触覚対象であること,そのために絵画をはじめとする視覚芸術よりも一層,分裂病者の手になるこけしはPraecox Gefühlともいうべきものが肉体的に反映されやすいと述べた。
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