Japanese
English
特集 精神医学における病態モデル
動物モデルによるうつ病の病態発生に関する研究
Studies on Pathogcnesis of Depression by means of the Anilnal Model
鳩谷 龍
1
,
野村 純一
1
,
北山 功
1
,
小石澤 学
1
Noboru Hatotani
1
,
Junichi Nomura
1
,
Isao Kitayama
1
,
Manabu Oishizawa
1
1三重大学医学部精神医学教室
1Dept. of Neuro-psychiatry, Mie Univ. School of Med.
pp.249-258
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203552
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
ストレスによるうつ病の動物モデルを作成し,脳内アミンの動態を検討し,うつ病の病態発生の解明を試みた。成熟雌ラットをストレスに長期間曝すと,その中のあるものは,ストレスによる直接の疲労から十分脱しているにもかかわらず,なお長期間に亘り発情周期の消失を伴う寡動状態を示した。この動物は抗うつ剤の投与により,その自発活動と発情周期を回復するので,これをうつ病モデルとして,その脳内アミンの動態を螢光組織化学的に検討した。その結果は次のように要約される。
(1)青斑核をはじめとする上行性NA/乍動系の細胞体のNA螢光は著明な増加を示したがその視床下部の神経終末でのNA代謝回転は低下していた。また,青斑核のTH特異螢光は減弱していた。
(2)一方,視床下部隆起-漏斗DA作動系は細胞体,神経終末ともにDA螢光は減弱していた。
(3)上記と同様の所見はストレス直後の動物にもみられたが,回復ラットの脳内アミンには対照ラットの間に差がみられなかった。
以上の所見は,うつ病の病態発生に関して多くの示唆を含んでおり,本モデルがうつ病研究の有力な手段となる可能性を示している。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.