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I.はじめに
筆者がうつ病の動物モデルの研究を開始した10数年前には,「うつ病モデル」という言葉すらきわめて奇異な目で迎えられ,多くは否定的な反応が返ってきたものである。ところが,最近では多くのモデルが発表され一種の流行となった感さえある。しかし妥当性の検討をへることなく,名前だけが,あたかもうつ病と関係あるかのごとくにつけられたものもときにみられる。
モデルをとおしてのうつ病研究の必要性,有用性は改めて論じるまでもない。たとえば,抗うつ剤の作用機序をとおしてうつ病の脳内機序を探るにあたって,正常動物に抗うっ剤を投与したのでは求める結果は得られない可能性が強い。抗うつ剤は正常者においてはねむ気をもたらすのみでうつ病者の場合とは効果が逆に近いという事実が示すように,薬物反応は正常動物と病的動物では全く違いうるからである。また,脳内のアミンまたはレセプターなどの変化のみを測定したのではそれ自体の意義は少ない。一定の行動変化との対応によって初めてその意義は著しく拡大される。抗うつ剤のスクリーニングにおいても同様のことがいえる。より優れたうつ病モデルが求められるゆえんである。
Abstract
Fourteen animal models of depression are reviewed. Four of them, i.e. yohimbine potentia-tion in mice and in dogs, amphetamine potentia-tion, and muricide, are rejected as invalid. They are considered just as screening tests for anti-depressants. The other ten models with validity are separation in monkey, learned helplessness, chronic unpredictable stress, forced running, behavior despair, amphetamine withdrawal, reser-pine, tetrabenazine, conditioned motionlessness, and 5-hydroxytryptophan model.
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