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一般演題
7 脳・肝機能連関に関する実験的研究—諸種条件下における肝臓及び脳の酵素活性の変動について
Experimental Studies on the Interrelationship of Liver and Brain: Effects of Drugs and Stress Conditions on the Activity of Several Enzymes of Liver and Brain
野村 純一
1
,
中沢 欽哉
1
,
鳩谷 龍
1
Jun-ichi Nomura
1
,
Kinya Nakazawa
1
,
Noboru Hatotani
1
1京都大学医学部精神科
1Dept. of Neuropsychiatry, Kyoto Univ.
pp.596-601
発行日 1964年7月25日
Published Date 1964/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904120
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我々は急性精神病の内,特に周期的発病の顕著な疾患群を主な対象として,その病状の経過に沿ってhomeostasisの動態を主として内分泌学的に検討してきた。その結果病期にはステロイドホルモン(androgen,estrogen,progesterone)の代謝異常や馬尿酸合成能の異常が高率に存する事を見出し,かかる所見を肝臓における代謝や解毒機能の障害を反映するものと解した。しかしこれらの所見は,特に肝庇護療法を行なわなくとも寛解時には自ら正常化する事,又LSD実験精神病や間脳疾患においても同様に認められる事等の点から通常の肝障害を意味するものではなく,脳機能と密接に関連した生体反応の一つと考えられる。即ちいわゆるcerebro-hepatic homeostasisの破綻の一局面を示すものと解するのが妥当であろう。従つて我々はかかる肝障害をそれ自体としては非特異的な生体反応ではあるが,本疾患群のような急性形式の精神障害においてはある程度共通の要因としてその病態発生に重要な役割を演ずるものと推論した。
そこでこのような意味での脳・肝機能連関を代謝の面から実験的に検討するために,四塩化炭素による肝障害,LSD投与,ストレス状態,内分泌障害等の各条件下におけるラッテの肝臓と脳について若干の酵素活性の変動を観察した。
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