Japanese
English
研究と報告
精神分裂病患者血清中の抗胸腺細胞抗体について
Antithymic Antibodies in Schizophrenic Sera
渡辺 雅幸
1
,
光宗 勝繁
1
,
野村 総一郎
1
,
中沢 恒幸
1
,
塚田 裕三
2
Masayuki Watanabe
1
,
Katsushige Mitsumune
1
,
Soichiro Nomura
1
,
Tsuneyuki Nakazawa
1
,
Yasuzo Tsukada
2
1名古屋保健衛生大学医学部精神神経科
2慶応義塾大学医学部生理学教室
1Dept. of Neuropsychiat., Fujita-Gakuen Univ. School of Med.
2Dept. of Physiol., Keio Univ. School of Med.
キーワード:
Antithymic antibody
,
Schizophrenia
,
Thy-1 antigen
,
Xenoantigen
Keyword:
Antithymic antibody
,
Schizophrenia
,
Thy-1 antigen
,
Xenoantigen
pp.1265-1270
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203350
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 精神分裂病患者血清中の抗マウス胸腺細胞抗体価を細胞障害試験により測定したところ,対照に比して有意に高値を示した。分裂病患者を発病5年未満の群と5年以上の群にわけて比較した場合,抗胸腺細胞抗体価はほとんど同一であり,また分裂病患者の細分類(破瓜型,緊張型,妄想型)と抗胸腺細胞抗体価との間にも,関連は認められなかった。一方BPRSのtotal scoreの高い分裂病患者ほど,抗胸腺細胞抗体価の高い傾向が認められた。
ヒト血清中の抗胸腺細胞抗体はマウス,ラット,ブタの脳と肝臓により完全に吸収されるが,ヒトの脳と肝臓では全く吸収されなかった。この結果,本抗体は従来主張されたThy-1抗原に対する抗体とは考えられず,未知の異種抗原に対して生じたものと考えられた。分裂病で抗胸腺細胞抗体の高値であった理由として,分裂病の情動障害にもとづく2次的な免疫異常によって産生された可能性を論じた。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.