Japanese
English
研究と報告
精神分裂病患者における家の認知
Cognition of Home in Schizophrenic Patients
横田 正夫
1
,
高橋 滋
1
,
町山 幸輝
1
Masao Yokota
1
,
Shigeru Takahashi
1
,
Yukiteru Machiyama
1
1群馬大学医学部神経精神医学教室
1Gunma University School of Medicine
キーワード:
Schizophrenia
,
Cognition of home
,
Cognitive disorder
Keyword:
Schizophrenia
,
Cognition of home
,
Cognitive disorder
pp.495-502
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204706
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抄録 本論文では,精神分裂病患者における自分の家の認知を検討するために行った2つの研究を報告した。研究Ⅰでは,正常者27名を対象に,家の中のどの部屋で寝るかの描画(家の見取図)についてできるだけ多様な表現を求め,計9の基準となる表現パターンを得た。研究Ⅱでは,分裂病患者52名,正常者120名を対象に,同様の家の見取図をひとつ描画させ,得られた描画の主な表現特徴を研究Ⅰの表現パターンのいずれかに分類し,分裂病患者と正常者の両者の間で表現パターンの出現率を比較した。その結果,正常者ではほとんどが家全体(家表現)の平面図を描いたのに対し,分裂病患者ではそれが少なく,その分寝る部屋のみを独立に描く部屋表現が多かった。また,分裂病患者の家表現の平面図では家の枠組み内に自分の部屋のみを孤立させて描く特異な表現がみられた。このような部屋を独立あるいは孤立させる描画特徴は,全体を見渡して部分を統合的に位置づけることができないという認知障害を示唆する。さらに,分裂病患者の家表現の側面図では透視図あるいは平面図との混合がみられた。これは家の外部と内部をみる2つの視点が混在し視点の一貫性が保たれていないことを示し,現実世界と妄想世界を共存させる二重見当識に相通ずるもののように思われた。
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