Japanese
English
特集 失行
脳梁性失行症
Calossal Apraxia
岩田 誠
1
Makoto Iwata
1
1東京大学医学部脳研究施設神経内科
1Dept. of Neurology, Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.991-999
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203319
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Ⅰ.脳梁性失行症の提唱とその歴史的展開
1900年,LiepmannはApraxiaに関する記念碑的な論文を提出したが1),彼自身は,この症例における一側性失行を,脳梁病変によるものと考え,有名な失行症の垂直シェーマを提唱した2,3)。しかし,今日では,この症例のApraxiaは,脳梁損傷に基づくものではなかったであろうと考えられている。脳梁損傷による劣位半球のdisconnexion syndomeとしての一側性運動失行症の最初の報告は,1907年,LiepmannとMaas4),Hartmann6),Vleuten5)により,各々独立に発表された3例である。
図1は,その3例の病変部位を示すシェーマであるが,いずれも左半球内側部の病変を伴っている。脳梁は,その幹が共通して損傷されており,膝および吻または膨大のいずれか,または双方が残存している。これらの患者では,検者が口頭で命じた動作を,右手では容易に行えたが,左手ではこれを行うことができなかった。しかも,言語命令だけでなく,検者の動作を見て,それを模倣するということも左手では不能であり,また,くしやはさみなど,実際の物品を手渡して,これの操作を行わせると,3例とも右手では正しい物品の操作ができたが,Vleutenの症例以外の2例では,左手による物品の操作も不能であった。
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