巻頭言
不器用な精神病理学を
高柳 功
1
1有沢橋病院
pp.424-425
発行日 1981年5月15日
Published Date 1981/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203251
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私の恩師,西丸四方先生は,近頃の精神病理の論文はよくわからないと嘆かれる。「頭が惚けてしまって」と,やや自嘲気味にいわれるが,あいかわらずのお仕事ぶりをみていると,とても言葉通りには受けとれない。むしろ西丸先生一流の痛烈なアイロニーがこめられているように聞こえる。
精神病理学は「臨床的ファクトにもとづいて考えられ,かつ臨床というプラクシスの場へ返球できるような病理学」(笠原 嘉)でなければならず,本来は臨床に密着した学問である。それがいつの間にかむずかしくわかりにくい学問になってしまった。西丸先生と同感である。
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