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特集 向精神薬をめぐる最近の諸問題
向精神薬の適用と問題点—持効性抗精神病薬
Clinical Problems on Long-acting Antipsychotic Drugs
風祭 元
1
Hajime Kazamatsuri
1
1帝京大学医学部精神科
1Department of Psychiatry, Teikyo University School of Medicine
pp.143-149
発行日 1980年2月15日
Published Date 1980/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203060
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I.はじめに
長期持続性の作用を持つとされる抗精神病薬であるfluphenazine enanthate(以下F・E)がわが国で発売されたのは1970年で,以来今日まで約10年が経過した。F・Eは,ピペラジン系フェノチアジン化合物の抗精神病薬であるfluphenazineをエナント酸エステルの形とし,油性溶媒に溶解して徐々に生体に吸収されることにより,作用の長期持続を目指したもので,拒薬患者の治療や,服薬中断の多い通院患者の維持療法にきわめて有効で,分裂病治療に一つの新しいエポックを画したものだと主張する研究者もある。
欧米でのF・Eの精神医療への導入はわが国よりも少し古く,すでに多くの臨床的経験が蓄積されており,これらの体験を基にして,持効性抗精神病薬の問題点を総括して論じた総説的展望3)や,単行本4)が近年になって発表されている。
わが国で用いられている持効性抗精神病薬は,F・E(アナテンゾール・デポ)のみであるので,本稿では主としてF・Eについて,その臨床的な問題点と最近の知見について簡単に述べることにしたい。なお,本剤に関しては,わが国においても,中江13),Ayd編(風祭他訳)のモノグラフ2)が発行されている。
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