Japanese
English
研究と報告
抗精神病薬療法における抗パーキンソン剤併用の再検討
Reevaluation of Antiparkinson Medication in Antipsychotic Drug Therapy
松下 昌雄
1
,
風祭 元
1
,
高塩 洋
2
,
新井 進
2
Masao Matsushita
1
,
Hajime Kazamatsuri
1
,
Hiroshi Takashio
2
,
Susumu Arai
2
1帝京大学医学部精神医学教室
2小山富士見台病院
1Dept. of Psychiatry, Teikyo Univ. School of Medicine
2Oyama-Fujimidai Hospital
pp.55-62
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202130
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現在,精神科の日常の臨床でひろく行われている,抗精神病薬と抗パーキンソン剤のほとんど全例に対しての長期間にわたる同時併用の必要性を再検討するため,37名の入院患者について,それまで抗精神病薬と併用していた抗パーキンソン剤を中止し,その影響を検討した。
(1)36名中11例(30.6%)に錐体外路症状の臨床的な悪化が認められ,この他の6例(16.7%)に,錐体外路症状評価尺度の上でのみの評点の悪化が認められたが,残りの19例(52.8%)には錐体外路症状の明らかな変化はみられなかった。
(2)抗パ剤中止により悪化した錐体外路症状は,手指の振せん,筋強剛,表情の硬さ,姿勢・歩行の異常などが多かった。
(3)抗パ剤中止により錐体外路症状の悪化した症例と,悪化しなかった症例との間には,年齢,罹病期間,抗精神病薬による治療期間,抗パ剤の使用量などの点では明らかな差を認めることができなかったが,悪化は抗精神病薬が多量に投与されていた症例に多い傾向がみられた。
(4)以上の所見から,抗精神病薬の投与の際に,錐体外路症状の出現の予防のために全例に対して抗パーキンソン剤を長時間にわたり併用することは,再検討を要するものと考えられる。
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