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内因性ジギタリス
吉賀 正亨
1
,
小宮山 豊
1
,
髙橋 伯夫
1
1関西医科大学医学部臨床検査医学講座
pp.561-564
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103204
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はじめに
陸上生活をする人類の歴史上,生体に必要なナトリウム(Na+)を摂取することが困難な時代が長く続いた.しかし,産業革命以来,人類は食塩を大量に生成,合成することが可能になり,長い人類の歴史のなかで,Na+過剰状態を初めて経験することとなった.それに伴い,近年Na+を排泄するメカニズムが注目されるようになってきた.
1960年代にde Wardenerら1)は,尿細管におけるNa+再吸収を抑制しNa+利尿を促す因子の存在を,糸球体濾過量,アルドステロンに次ぐ,腎臓におけるナトリウム調節にかかわる第三因子(third factor)として提唱した.強心配糖体であるジギタリスは尿細管のNa+/K+-ATPaseを抑制することでNa+利尿をもたらす.ジギタリスは植物から分離精製されたが,ジギタリス製剤を内服していないにもかかわらずジギタリス様免疫活性物質が測定されることから,生体内でジギタリス様物質が産生されている可能性があり,これらのことから内因性ジギタリス様物質(endogenous digitalis-like factor,EDLF)の存在が示唆された.
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