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シンポジウム 精神分裂病者の治療について—東京都精神医学総合研究所,第5回シンポジウムから
リハビリテーション
Treatment of Schizophrenia: From the Standpoint of Rehabilitation
山崎 達二
1
Tatsuji Yamazaki
1
1都立世田谷リハビリテーションセンター
1Setagaya Municipal Rehabilitation Center
pp.1055-1060
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202829
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I.はじめに
今回のシンポジウムで筆者に与えられた課題は精神分裂病の治療の具体的な流れの中でのリハビリテーション活動を考えるということであるが,本来リハビリテーションはいわゆる治療の枠を越えた幅広いかつ複雑な面を持っていることはいうまでもない。
一口に精神分裂病といっても病者の人間としての生き方はさまざまである。治療者の側からみればそこでは何らかの方法論に基づく症候学的な解釈が加えられ治療する努力が続けられているけれども,リハビリテーション活動ではそういう努力の上に生活全体での病者の適応がうまくいってほしいという願いをこめて援助をしているのが特徴である。
したがって精神医学的なリハビリテーションにおいては,何らかの形で治療が始まる時から一緒にリハビリテーション活動も始まるといってもよいわけで,しかも病者の生活上のあらゆる問題を合むというまさに総合的な活動といえる。
しかもそれは極めて具体的,実践的なもので1例1例にその病者の社会的復権への努力が含まれているわけで,ここである基準のもとに一緒にして一般的な治療論で再構成してしまうことは筆者の本意ではない。
ただ限られたスペースであるし読者の参考のためには,まず具体的な1人の症例の経過をたどりある程度一般的に問題をとり出しながら症例をふり返りたいと思うが,もちろんここにあげる症例は決して説明のための特別なものではなく,むしろ読者のかかわっている同じような経過の多くの分裂病者の1人として考えていただきたい。
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