Japanese
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特集 作業療法
個人療法的作業の効果をめぐって
Effects of Individual Psychiatric Occupational Therapy
浜野 夏子
1
,
山崎 達二
1
Natsuko Hamano
1
,
Tatsuji Yamazaki
1
1東京都立松沢病院
1Matsuzawa Hospital
pp.115-122
発行日 1972年2月15日
Published Date 1972/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201852
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I.はじめに:目的と方法
Pinel以来の長い低迷を経て,作業療法は近年ようやく精神医療の実践活動として広まってきたが,その効果はまだ経験的な事実に多くを支えられている段階といわなければならないだろう。多くの先輩諸氏から「どうして効くのかはっきりしないが,確かに患者さんは変わっていく」という声をきくとき,私たちは大変力づけられると同時に,どのように実践することが客観性をもつ行為につながるのかわからないという諦め的な響きを感ずることもある。このことは,いわゆる作業あるいは活動をつかったアプローチが,moral treatmentとかergotherapy,Arbeitstherapie,worktherapy,activity therapy,occupational therapy等等,さまざまな名称で呼ばれて,時代的・国家的な人間観や医学の哲学的背景と密接に関連しながら発達してきた事実と無縁ではなさそうである。したがって作業療法をとりまく現代医療の構造をぬきにして,技術や科学的実践をとりあげることに困難がある。しかし,そうはいっても臨床的に効果があるといわれる以上,作業療法の治療的要因を点検する必要性は変わらないと考える。
私たちのアプローチの目的は,病気や障害そのものよりも,病気や障害をもちながら生活する個人に対して,彼らがうばわれた生活機能をとりもどし充実したあり方(リハビリテーション)を得ることである。
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