シンポジウム 生のリズムとその障害—東京都精神医学総合研究所,第3回シンポジウムから
精神疾患と内分泌機能の日内リズム
諸治 隆嗣
1
1束京都精神医学総合研究所,精神薬理部門
pp.115-127
発行日 1977年2月15日
Published Date 1977/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202581
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I.はじめに
ヒトがその生命を維持していくのに自然界から動物性あるいは植物性の食物を得る必要があることから,ヒトが生物の生命現象にみられるいろいろなリズム現象に関する豊富な知識を古くからもっていたことは想像に難くない。しかし,このような生物のリズム現象を一つの体系だった学問の分野(時間生物学chronobiology)として取り上げ,研究しようとする動きは比較的最近になってからでてきたものである。
ところで,このような自然界に広くみられる生体リズム現象によるさまざまな周期をもつものがあり,ヒトを例にとれば,それは1012以上もあるといわれている。すなわち,1個の神経細胞の活動といったきわめて短い周期をもつものから,受胎から死といった個体にとっては1回限りしか体験されないが,人類にとっては常に繰り返される生命周期にいたるものまでがある。Halbergら9)はこのような異なった周期をもつ生体のリズムを便宜上表1のごとくに分類しているが,すべての生体リズムがこれによって分類されてしまうわけではない。また,さまざまな周期をもつリズムの相互間には共通点はあまりなく,それぞれが生命の維持にとって個有の意義をもっていると考えられている。
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