シンポジウム 生のリズムとその障害—東京都精神医学総合研究所,第3回シンポジウムから
生体リズムと精神医学
高橋 良
1
1長崎大学医学部精神神経科教室
pp.100-111
発行日 1977年2月15日
Published Date 1977/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202579
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I.はじめに
生命のリズム現象は下等動物からヒトに至るまでのすべての生物体において,形態および機能の各レベルで見出され,昔から生物科学のみならず生命哲学における重要テーマであった。しかし近年,科学技術の進歩とともにこの生体リズムの研究はその性状と形成機序とをめぐって基礎的科学のみならず臨床医学においても活発に行なわれるようになった1,2)。
ヒトの生体リズムについては今日まで心拍,呼吸,体温,月経周期,内分泌,細胞内代謝,血液性状,水・電解質排泄,睡眠覚醒,脳波,神経インパルス,振せん,微細運動,心理活動など種々のものが研究され,特に生理機能の日内リズムについては光や環境に同期しない内因性の自発リズムと同期するリズムとが区別されてきた。そしてさらに日内リズムの個人差や疾病との関係が研究されつつある。このような現状において精神医学と生体リズムとの関係は極めて現代的なテーマといえるが,その問題をとり上げてみると差し当り,表1に示したようなものがあると考えられる。
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