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特集 近代日本の宗教と精神医学
現代宗教人の危機—宗教体系の混乱と精神障害
Crisis in the Life of Religious People Today: Post Vatican Ⅱ Confusion and mental disorders
鎮目 光雄
1
Mitsuo Shizume
1
1聖ヨハネ会桜町病院神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, St. Johanne Sakuramachi Hospital
pp.1293-1299
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202563
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I.はじめに
この度の特集で筆者に与えられた題目は,「現代宗教人の危機——宗教体系の混乱と精神障害」であるが,筆者はいろいろの宗教について研究したこともなく,わが国に古くからある神道や仏教に関する知識もろくにないといってよい。それ故,現代の諸宗教体系を比較しながら上記のテーマについて論ずることなどはとてもできない。しかし自分がカトリック信者であり,この8年間カトリックの病院に勤務しているので,取り扱っている患者の中には,カトリック信者,司祭,修道士,修道女がかなり多く,また桜町病院はカトリック病院としては,唯一の精神科病棟を有する病院なので,司祭や修道者で開放病棟に収容できる病状の患者の多くが送られて来るようである。また今日までに,約300名の修道女やその志願者に対する適性検査を依頼されてきたので,聖職者達の悩みや適応の問題については,ある程度知り得たと思う。
したがって,筆者がこれから述べるのは,カトリック教会という特定の宗教団体の修道者達が,混乱と動揺の現代社会にあって,急激に変革する教会の中で,自分達の生活環境に適応できなくなっていった過程とその背景ということになる。
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