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特集 近代日本の宗教と精神医学
松沢病院における宗教妄想の時代的変遷—妄想主題における「宗教的なもの」の意味
Thematisierung beim "religiosen" Wahn Schizophrener im Wandel der Zeit
藤森 英之
1
Hideyuki Fujimori
1
1東京都立松沢病院
1Matsuzawa Psychiatrisches Krankenhaus zu Tokyo
pp.1279-1291
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202562
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Ⅰ.緒言
ヨーロッパでは精神医学の近代の歴史において,キリスト教が精神医学と多くの接点をわかちあっているが7),従来のわが国の宗教病理学では,宮本ら18)も指摘するように,土俗的・原始的信仰や迷信による土俗的な「もの憑き現象」を対象とした業績が多い(ここではそれらの系譜にはふれない)。
小田25)は文化史を主軸にすえて「狂気観」の変遷を追求し,9世紀のわが国のコンメンタールである「令集解」のなかに,「自ら聖と称し高賢と称する」もの,つまり宗教妄想による現実の否認を主にして「狂」の定義がなされていると論じている。
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