Japanese
English
研究と報告
精神分裂病の再発に関する調査
A Research on Recidivism in Schizophrenia
増野 肇
1
,
新福 尚武
1
,
有安 孝義
2
,
林 信人
3
,
矢内 伸夫
4,6
,
藍沢 鎮雄
5,7
Hajime Mashino
1
,
Naotake Shinfuku
1
,
Takayoshi Ariyasu
2
,
Nobuhito Hayashi
3
,
Nobuo Yauchi
4,6
,
Shizuo Aizawa
5,7
1東京慈恵会医科大学精神神経科教室
2総武病院
3栃木県立岡本台病院
4根岸国立病院
5多摩川保養院
6現南小倉病院
7現国立精神衛生研究所
1Department of Neurology & Psychiatry, Jikei University School of Medicine
2Sobu Hospital
3Okamotodai Hospital
4Negishi Kunitachi Hospital
5Tamagawa Hospital
pp.1147-1154
発行日 1976年11月15日
Published Date 1976/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202547
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I.はじめに
薬物療法の進歩は,これまでなすすべもなく精神病院内に沈澱していた分裂病患者の社会復帰を促進するとともに沈澱すべき分裂病患者を減少させることに貢献したが,再発に対しては認むべき効果がなく,むしろ再発防止の困難さを印象づけることになった。内外における分裂病の予後に関する研究を見ても,戦前の調査1〜3)は主として退院後何年か経過した時点での実態調査に重点をおき,その時点における状態を捉えているもののそのあいだにおける経過,特に再発の有無についてはふれていない。それに対して,戦後の調査4〜6)はむしろ再発の有無,その発生様式や関係因子の解明に大きな関心を向けているが,そのことにも薬物療法時代における可発問題の重大さが示されていると考えることができる。
一方,分裂病の発病のメカニズムがいまだはっきりとしない現在,再発のメカニズムの研究を通じてそれに迫る道も示唆される7)。
以上の理由から,著者らは分裂病の再発の調査にとりかかることにしたが,調査期間を退院後6年とした。それは,これまでの蜂谷4),大熊5)らの調査では退院後の経過観察期間が1〜6年および3〜8年で,かなりの幅があるうえ,平均3年となるが,それでは不十分と考えたからである。
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