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特集 在宅精神医療—日常生活における指導と治療
Ⅰ.在宅精神障害者の動態(実態)とその処遇—何に困っているか,何ができるか,何をなすべきか
地方中都市(北海道旭川)の精神医療
Mental Health Activities in a Local Urban District: A report from Asahikawa City
塚本 隆三
1
Ryuzo Tsukamoto
1
1市立旭川病院精神神経科
1Dept. of Psychiatry and Neurology, Asahikawa City Hospital
pp.605-613
発行日 1976年6月15日
Published Date 1976/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202495
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I.はじめに
まずこの報告は,今度の特集を企画された人の意図を充分に汲んだものではないことを,おことわりしておく。企画者から連絡のあった時にも,テーマに沿って意見を述べるほど当地方の患者の実情をつかんでいないことから辞退したが,再度の要請であえて引き受けたのは,これとは別に,当科を受診した精神分裂病患者の実態を調査中であったからである。
私が当院の精神神経科の初代医長として着任して12年になり,この間にかかわりあってきた精神障害者,特に精神分裂病の患者の現状を充分認識することが,これからの私の仕事の方向づけをすることになると考えて調査を始めた。この種の報告は数多くあり,在宅患者に特別な対策がなされていない旭川の現状では,目新しい,報告しなければならぬようなこともないのかもしれないが,現状の分析をもとに,旭川という地方中都市の文化的・社会的背景を考慮しつつ,今後の方向をさぐるのが私にとって必要なことであり,それがある程度,今度のテーマに沿いうるだろうと考えたからである。
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