Japanese
English
特集 精神分裂病の生物学
神経生理学的側面
Schizophrenia: Neurophysiological approaches
安藤 克巳
1
Katsumi Ando
1
1東京医科歯科大学神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Tokyo Medical and Dental University
pp.1165-1175
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203011
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I.はじめに
精神分裂病者の神経生理学的研究については,これまで脳波,自律神経反射を中心に数多くの研究が行なわれているが,個々の現象については分裂病患者に特異とみられる所見は見出されていなかった。しかし最近,電子機器など研究手段の開発とともに,かなり正常者から偏りのある現象が得られるようになり,またある一定条件下で示す反応の様式に共通した特徴がみられるようになっている。
分裂病について観察できる生理学的指標としては,脳の機能状態を直接反映する脳波や誘発電位,閉瞼時眼球運動,中枢神経機能の変化を自律神経機能の変化を通して観察する方法,動いている振子を目で追う追従眼球運動や,図形を認知する際の視線の動きをとらえるアイカメラによる記録など生理学的,心理学的にみる方法,さらに分裂病の脳機能障害,とくに連合領域における障害について有力な根拠を与えると思われる局所脳血流の研究などがある。これら分裂病の神経生理学的研究の中で,とくに近年コンセンサスの得られている現象や,今後の分裂病研究の手がかりとなる問題のいくつかを取り上げ,眺めてみたい。
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