Japanese
English
研究と報告
セネストパチーに対する一考察—自験例2例の多次元的解析を中心として
A Consideration for Cenesthopathia: Mainly the Analysis on Experienced 2 Cases
遠藤 俊吉
1
,
山本 裕水
1
,
中西 昭憲
1
,
岩崎 靖雄
1
,
広瀬 貞雄
1
Shunkichi Endo
1
,
Hiromi Yamamoto
1
,
Akinori Nakanishi
1
,
Yasuo Iwasaki
1
,
Sadao Hirose
1
1日本医科大学精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Nippon Medical School
pp.475-484
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202314
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I.はじめに
1907年Dupréら5)により,cénesthésieの障害として,奇妙な,定義づけられない,苦しい感覚を単一症候的に示すcénesthopathieなる概念が提唱されて以来,この概念をそのまま踏襲するものである,本症をモノマニーとしてとりあげる立場と,Huber12)などにより代表される分裂病など他の精神疾患(Shwartz23))あるいは身体疾患に随伴するものとする立場があり,わが国でも,三浦20),保崎10),小池17)らの報告は主として前者の立場に立つものであり,本症における分裂病性心性を論じた吉松25)の報告は後者の立場に立つものであろう。さらに,その体験題目が特定なものであるいわゆる「皮膚寄生虫妄想」(Dermatozoenwahn)およびその近縁のものも主として後者に属せしめ得るもので,わが国でも保崎ら9)の報告があり,近年天草ら1),伊東ら15)により報告されている。しかし,Dupréらの症例に近い純型とでも称すべき症例の報告は比較的少なく,三浦20)の1例,保崎10)の症例の一部,小池ら17)の2例,小見山19)の1例にとどまっているが,この理由の1つには,Dupréら5)の症例の具体的紹介がなされていないこともあるように思われる。
そこでわれわれは,近年経験した,症候学的にはこれに相当するものと思われる2例について,多次元的解析を試みつつ,Dupréらの症例と比較検討し考察を加えることにする。
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