Japanese
English
研究と報告
老人の痴呆診査スケールの一検討
An Investigation of Dementia Rating Scale for the Elderly
長谷川 和夫
1
,
井上 勝也
1
,
守屋 国光
2
Kazuo Hasegawa
1
,
Katsuya Inoue
1
,
Kunimitsu Moriya
2
1聖マリアンナ医科大学精神科学教室
2都立老人総合研究所
1Dept. of Psychiat., St. Marianna University School of Medicine
2Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
pp.965-969
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202243
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Ⅰ.まえがき
老人の知的機能を論ずるさいに,必ず問題となるのが,生理的老化に並行したいわば"正常な"精神老化と,なんらかの病的促進因子によると考えられる"病的"痴呆との区別の問題である6,8,10,11)。もし両者の異同を区別しないと,「老年期には,知的機能は急速に衰退する」といった性急な結論に導かれることになる。
しかし,実際には老人にも「若い者に負けない」ほどの知的能力を示す者も数多く,また知的老化の気配さえみせぬ老人にもよく出遇うものである。さらに,最近の新福らの研究結果によれば9),必ずしも加齢とともに知的衰退がみられるわけではなく,少なくとも65歳から80歳までの老人には,なんらの有意差も認められず,知的機能は,むしろ「平板化(plateau)する」という。
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