Japanese
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研究と報告
強迫神経症についての一考察—「自己完結型」と「巻き込み型」について
A Consideration on Obsessional Neurosis
成田 善弘
1
,
中村 勇二郎
2
,
水野 信義
3
,
石川 昭雄
3
,
河田 晃
3
,
河田 美智子
3
Yoshihiro Narita
1
,
Yujiro Nakamura
2
,
Nobuyoshi Mizuno
3
,
Akio Ishikawa
3
,
Akira Kawada
3
,
Michiko Kawada
3
1名古屋大学医学部精神医学教室
2愛知県立城山病院
3静岡県立病院養心荘
1Dept. of Psychiatry, Nagoya Univ. School of Med.
2Shiroyama Mental Hospital
3Yoshinso Mental Hospital
pp.957-964
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202242
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I.はじめに
強迫体験は精神病理学的にきわめて興味ある病態の1つであり,研究の歴史も古い。その概念規定も研究者により繰り返し試みられ,またその理解も,Janet的立場13),精神分折的立場6,7),森田学派11),現象学的人間学の立場8,16),など,さまざまな方向から行われている。また近年obsessive personality15)が注目されつつある。ただ,われわれの見るかぎり対人関係理論からの論述20)は比較的少ないように思われるので,この立場から若干の考察を試みたいと思う。強迫体験の定義は諸家により多少の違いがあるが,ここではすでに早く記述的現象学の立場にたって行われた富岡17)の定義に従うことにする。彼によれば,「強迫現象とは自我によって遂行せらるるものと承認せらるるが,しかも自我の現下の傾向に一致せず,従って自我は抗争的拒否的態度をもってこれを抑制せんと努むるが,尚抑制し得ざる作用Akt」であり,「情緒的体験に関するものであろうと,思考表象作用に関するものであろうと,作用の性質により区別する必要はなく」すべて強迫現象と呼ぶ。われわれは一応この見解に基づき,このような強迫現象を持った神経症者に対して,彼らの具体的対人関係にとくに注目しつつ考察を試みた。そしてこの観点から見るとき,大きく分けて2つの類型をたてることが可能なのではないかと考えた。
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