Japanese
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連載 細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望――臨床への展開・Vol.2
自己完結型肝硬変再生療法に至る基礎的研究から治験まで
From basic research to clinical research on “cultured autologous bone marrow mesenchymal stem cells infusion via hepatic artery”
藤岡 毅
1
,
松本 俊彦
1
,
高見 太郎
1
Tsuyoshi FUJIOKA
1
,
Toshihiko MATSUMOTO
1
,
Taro TAKAMI
1
1山口大学大学院医学系研究科消化器内科学
キーワード:
再生医療
,
肝硬変
,
骨髄間葉系幹細胞(BMSC)
Keyword:
再生医療
,
肝硬変
,
骨髄間葉系幹細胞(BMSC)
pp.563-568
発行日 2024年11月16日
Published Date 2024/11/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291070563
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SUMMARY
肝臓は,さまざまな原因による障害が続くと線維化が進行し,肝硬変に至ることで生命に関わるようになるが,根本的な治療は肝移植のみである.当科では肝再生療法の細胞源として骨髄細胞に注目し,肝硬変モデルマウスにおいて骨髄細胞投与により肝線維化が改善することを発見した.これを基盤に骨髄単核球分画を末梢静脈投与する自己骨髄細胞投与療法を考案し,先進医療Bを含む多施設共同研究で肝硬変に対する治療効果を確認した.さらに,骨髄単核球分画のうち骨髄間葉系幹細胞(BMSC)を投与することで肝硬変モデルマウスの肝線維化が改善することを報告し,肝硬変患者の少量の自己骨髄液から培養したBMSCを末梢静脈投与する低侵襲肝臓再生療法を考案した.しかし,末梢静脈では多くのBMSCが肺に捕捉されるため,より効率的に肝臓へ細胞を送達する経路として肝動脈を選択し,イヌ肝線維化評価モデルで安全性と末梢静脈投与を上回る治療効果を確認した.このような経緯を経て,現在は医師主導治験「自己完結型肝硬変再生療法」においてBMSC肝動脈投与療法を実施している.
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