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I.はじめに
視覚系刺激による脳波賦活法の現況をみると,開・閉瞼賦活を除けば,ストロボスコープによる白色点滅刺激(photic stimulation,PS)賦活14)のみが一般的であって,色,図形に対する考慮はほとんど払われていないといっても過言ではない。白色点滅刺激だけでなく,赤色23,24)-点滅光4,5,12),ある種の幾何学的図形6,7,19,20),さらに眼瞼10,11)ないしは眼球運動18)が発作波賦活効果を有することが実証されたのは,比較的最近のことである。
われわれは過去4年間,図形(過敏)てんかん(pattern-sensitive epilepsy)の研究19,20,29)に端を発し,開瞼した一定状態で点滅,色,図形の視覚刺激の中に含まれる3要因を組み入れての視覚感覚賦活(visuo-sensory activatlon),および暗室での開閉瞼と開瞼させておいての眼球運動による視覚運動賦活(visuo-motor activation),さらにはその両要因を組み入れた視覚感覚運動賦活(visuo-sensory-motor activation)の3者を含めた,われわれの提唱する視覚系の要素別刺激による脳波賦活(以下要素別賦活)法を開発し,それに基づいた視覚性てんかん(visual epilepsy)の一連の臨床・脳波学的研究を行ってきた19〜38,40,41)。ここで用いた要素別賦活という脳波賦活法の基本は,視覚刺激に含まれる脳波賦活のための有効な要素は何であるかをまず追求する点にある。その後に要素別または各要素の組み合わせ刺激による脳波賦活を行えば,脳内における視覚性てんかんの発作発現機序についての理解をより深めることができるであろう。
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