Japanese
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増大特集 新・リハビリテーション技術
障害編・その他
視覚障害:電気刺激による視覚代行
Artificial vision.
鈴木 聡
1
Satoshi Suzuki
1
1名古屋大学医学部眼科学教室
1Department of Ophthalmology, Nagoya University
キーワード:
人工視覚
,
人工網膜
Keyword:
人工視覚
,
人工網膜
pp.1337-1340
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109950
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はじめに
21世紀に入り,工学技術の進歩に伴い人工臓器の分野はその発展が加速されると思われる.眼科分野でも器械的な眼を代用臓器とする研究が進められ,実際に患者に移植され始めている.本稿ではその歴史と現況を報告する.
失明者に対する視覚代行目的の器具は,聴覚と触覚によるものが代表的である.現在ではさまざまな器械に音声発生装置が付き,時刻や体温,血糖値の測定などに使われている.超音波で距離を測り,音で測定値を知らせるものもある.白杖は触覚を感じる部分の延長であり,点字も触覚による情報伝達の手段である.ものの形も触覚により把握できるが,離れたものに関してはやはり言葉による説明以外には現状ではない.体のどこかの皮膚上を形を作って刺激し,触覚による形の認識も試みられている.しかし,現在,聴覚と触覚以外の,失われたはずの感覚である視覚を代用器具を使い失明者に認識させようという試みが行われている.
視覚は光を視細胞によりシグナルに変換され,網膜双極細胞,網膜神経節細胞と伝わり,外側膝状体から大脳皮質視覚野へと伝わる.失明者の多くは後天的であり,失った細胞以降の脳へ繋がる細胞,あるいは脳は正常な部分を残している場合が多い.その残った細胞に,移植された電極からシグナルを送ることにより,脳までデータが伝わり器械的に光覚を作り上げるのである.光だけでなく,形,そして最終的に映像を認識させる人工眼が視覚代行として考えられている1-3).
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