Japanese
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C.P.C. 松沢病院臨床病理検討会記録・9
いわゆる“所見のない精神薄弱”の1症例
An Autopsy Case of so-called "Mental Deficjency without Specific Pathological Findings"
浜田 晋
1
,
岡田 靖雄
2
Susumu Hamada
1
,
Yasuo Okada
2
1東京都立精神衛生センター
2東京大学医学部精神神経科教室
1Tokyo Mental Health Center
2Dept. of Psychiatry, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.669-673
発行日 1972年7月15日
Published Date 1972/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201917
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I.まえおき
5歳から25歳で死ぬまで精神病院で育ち生活した非常に落着きのないいわゆる興奮型の白痴例である。7歳ロボトミーまでうけている。生前器質性の基礎にもとづく重症精神薄弱と考えられていた。ところが剖見により,みるべき病理所見はなく,いわゆる“所見のない精神薄弱”とよばざるをえない。白痴——しかもこのような重症のもの——には,身体的基礎が明確であり解剖すればすぐその病源をたしかめることができるだろうと考えることは誤りである。臨床と病理の溝はまだまだ深く,精神薄弱を医学的に総合的に解明する道はなお遠い。
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