Japanese
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研究と報告
ヒトの睡眠中における自律神経系の変化—逆説相遮断の影響
Autonomic Changes in Human Sleep: The Effects of REM Sleep Deprivation
阿住 一雄
1
Kazuo Azumi
1
1三井記念病院神経科
1Dept. of Psychiatry, Mitsui Memorial Hospital
pp.811-816
発行日 1971年8月15日
Published Date 1971/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201792
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I.序言
DementおよびKleitman(1957)1)による逆説睡眠相(以下,逆説相と呼ぶ)の発見以来,多岐にわたり,数多くの睡眠研究が行なわれた。全断眠の研究の他に,選択的に逆説相の出現を,物理的方法,または,薬物による方法によって妨害し,その生理学的,生化学的ないしは,心理学的な影響が追求された。動物実験による生理学的影響としては,主として,聴覚系の興奮性の増加2),痙攣閾値の低下3)4)や,睡眠中の頻脈化5)6)などで,脳の興奮性の増加が示唆された。しかし,ヒトにおける生理学的影響の報告は少なく,とくに,睡眠中における自律系の変化については,明らかでない。
一方,多くの,睡眠中の皮膚電気活動に関する研究者は,手掌と前腕,または,指の屈曲面と前腕の誘導から,これを記録した。しかし古閑や新美らの研究(1960,1968)7)8)により,手背のSkin. Potential Response(以下,SPRと呼ぶ)は,手掌よりも,ほとんどつねに,振幅が優位であり,また,前腕部のそれは,ほぼ,手背のSPRと平行して増減することが知られている。この手背と手掌のSPRの,振幅に関する優位性の関係は,覚醒時では,明らかに逆転する。また,最近,皮膚電気活動には,汗腺起源性と非汗腺起源性の両成分があり,手掌は,前者の比重が高いが,手背は,後者がより優位であると考えられている9)。したがって,少なくとも,睡眠中のSPRの記録は,手掌部と手背部とは,別々に記録されるべきであり,これまでの多くのSPRの記録は,特性のことなる二つの部位における電気活動の和であって,論理的には,不正確な所見をえていたことになろう。
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