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研究と報告
ナルコレプシーの夜間睡眠—とくに逆説相と入眠時幻覚について
Polygraphic Studies of Nocturnal Sleep of Narcoleptics, with Special Reference to Paradoxical Phases and Hypnagogic Hallucinations
高橋 康郎
1
,
神保 真也
1
Y. Takahashi
1
,
M. Jimbo
1
1東京大学医学部精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med., Univ. of Tokyo
pp.442-451
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200714
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I.まえがき
近年,睡眠の神経機序の研究がいちじるしく進展しつつあるが,睡眠時の脳波,眼球運動,呼吸,心電図などを多角的に同時に記録するポリグラフ的方法による研究が行なわれDementら3)4)5)(1957)の賦活睡眠(activated sleep)あるいはJouvetら13)14)(1960)の逆説相(phase paradoxale)の発見以来,この特異な睡眠相の解明が一つの焦点となつている。
正常睡眠のほか,各種の精神神経疾患の睡眠も対象となつているが,睡眠覚醒調節障害が病因をなすナルコレプシー(narcolepsy)は睡眠研究の対象としては興味深く,昼間の睡眠発作,脱力発作に対して夜間は熟眠困難で特異な入眠時幻覚や睡眠麻痺などの現象を伴うことが知られている7)26)29)。しかるに本症の昼間の脳波記録はかなり多数の報告2)10)24)があるにもかかわらず,夜間睡眠に関する研究はきわめて数少ない11)12)23)27)。われわれは数年来多数例のナルコレプシーについて種々の観点から研究しているが,今回はポリグラフによる終夜睡眠記録を行ない,とくに逆説相と入眠時幻覚について詳細に検討し興味ある結果をえたので報告したい。
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