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研究と報告
刑法改正に関する私の意見 第2篇 不定期刑を中心として(その1)—意志の自由と非自由および決定論と非決定論について
My Opinions on the Reform of the Criminal Law
田村 幸雄
Yukio Tamura
pp.946-950
発行日 1968年11月15日
Published Date 1968/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201411
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I.はじめに
「意志は自由か非自由か,決定論か非決定論か」は哲学や倫理学で重要事項として論じられている。刑法学においても,責任や刑罰などの基礎として,ひいては刑法学説を大系づける根拠として重要視され,欧米でも日本でも活発に議論された。前篇で,著者はアメリカにおける精神科医対法家の冷戦はこの問題についての両者の見解の相違が一大原因であることを述べ,意志の自由について簡述したが,本篇ではこれらと関係するところが大であるので,少しく立入つて検討したいと思う。
本論で,著者は日独刑法学大家の意見の批判をこころみるが,刑法学にずぶのしろうとがあえてこれをなすのは,盲,蛇におじずの感があるかもしれない。しかし,考えてみると,この問題は刑法学の基礎をなすが,かならずしも刑法学の知識を要しない。むしろ,哲学や心理学と関係が深く,精神医学にも関係がないわけでない。したがつて,畑違いの著者がこれを論ずるのもかならずしも見当違いでなく,刑法学界になんらかの参考資料を与えるものと確信している。
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